一人二役でヴィブラフォンの世界をひらく
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見た目には、金属の音板をした木琴に近いヴィブラフォンは20世紀になってから発明された比較的新しい楽器だ。しかしジャズの世界では“Swing”時代のライオネル・ハンプトンに始まり、巨匠ミルト・ジャクソンから現在活躍中のプレイヤーまで、層は意外と厚い。
その中にあって絵里の名を一躍広めたのは、知的でクール・ビューティーな容姿と共に、斬新なデビュー・アルバムに負うところが大きい。それは彼女の一人二役によるデュオ・アルバム。まずヴィブラフォンAのパートを録音、それに重ね合わせてBのパートを演奏し一発録りした。
2台の幻想的で心地よいサウンドが互いにぶつかり合うことなく、つかず離れず、まるで相手の動きが読めるかの如く(実際読める!)奇跡のように美しい響きを増幅させていく。その感覚はまさにジャズそのものだ。また、ほぼすべてが誰もが口ずさめる有名な楽曲ばかりだが、決して安易なメロディ&伴奏に陥らないヒネリの効いたアレンジも絶品。
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