ヴィブラフォン奏者、絵里が自らオーヴァー・ダビングで二役を演じた、ソロにしてデュオのデ ビュー作。 小さいころからクラシックあり島唄ありの混然とした音楽環境で育ったという彼女は、15歳で マリンバに出会い国立音大へ進学。 ヴィブラフォンのクールネスは、“詩的”と評されるピアノにも優るという漠然としたイメージ が、このアルバムを聴いて確信に変わった。その“冷たさ”“堅さ”をどう音楽的に再構築するか は、演奏者の人間性が大きく影響する。彼女の場合、選曲に発揮されるセンスや、自分との対話で 見せるわずかな息継ぎなどに現れる。楽しみな個性の登場だ。 (富澤えいち)