「ワインデイズ」レーベル

----- スイングジャーナル2004年12月号より -----
特集記事

絵里アルバム・デビュー!
一人二役を演じるバイブラフォン・デュオ

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「絵里の演奏が持っている独特な“ゆらぎ”の感覚に惹かれた」
 ジャズの新しい可能性を追求する3361*BLACKから、女性バイブラフォン奏者の絵里が『ライムライト』でアルバム・デビューを飾る。絵里は同レーベルのボイス・パフォーマンス・グループXUXUと似た背景を持っている。XUXUは国立音楽大学のメンバーを中心にして結成された。絵里も同大学の出身で、当初はXUXUと共演するアーティストのひとりとしてスカウトされ、3361*BLACKの伊藤秀治プロデューサーのサジェスチョンによりジャズを学んだ。同時に打楽器専攻科に属していた彼女は、バイブラフォンに集中することになる。「絵里の演奏が持っている独特な“ゆらぎ”の感覚に惹かれた。それがジャズに反映されれば面 白くなると思った」と、伊藤氏は絵里の印象を語っている。

 アルバム『ライムライト』は、絵里が一人二役を演じるバイブラフォン・デュオというユニークな設定で録音された。最初にソロで録音、その演奏を流しながら自分とデュオを行うという方法だ。一発録りで知られる3361*BLACKがオーバーダブを使用したのは初めてだが、二度の録音はそれぞれ一発録りされている。「二人のバイブラフォン奏者が共演した『カルメン』をパリで録音したとき、そこで生まれたオルゴールのような響きに驚いた。絵里が一人二役でそのサウンドを表現すれば、さらに興味深い音楽になると考えた」と伊藤氏はいう。なるほど、これまで聴いたことのないような浮遊感覚のある音楽が奏でられている。選曲はスタンダード・ナンバーならではの新しい可能性を追求した作品でもある。伊藤氏は現在も音大や芸術大学に足をよく運んでいる。「ピアノ・トリオのスタンダード集はセールスが見込みやすい。だが、そればかりではジャズ界は先すぼみになってしまう。停滞した状況を打破するためにも、若いアーティストたちと接触しながら新しい試みを続けて行きたい」と、伊藤氏は抱負を語ってくれた。
(高井信成)




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