「サ・バ」レーベル

----- Magi(マギー)2004年9月号より -----
クラリネットの深い心地よさ

 トニー・コーはクラリネットやテナー・サックス奏者として、欧州ではか
なり名の知れたイギリスの巨匠。スコット・ロビンソンは秋吉敏子オーケス
トラの要として活躍するなど、30種以上の管楽器を吹きこなす管の達人。ト
ニーのクラリネットとスコットのバス・クラリネットに、フランス国立ジャ
ズ・オーケストラのパーカッショニスト、ザヴィエ・ドゥゾンドゥール・ナ
ヴァールが加わり、独特の世界を繰り広げるこのアルバム。スピルバーグ監
督のアカデミー賞作品「シンドラーのリスト」から、ジョン・ウィリアムズ
の手による名曲を取り上げたパリ発信のジャズ・レーベル“サ・バ”シリー
ズ第10弾となる作品。
 アルバムを聴いて率直に感じたヨーロッパの香り。対位法をインプロヴァ
イズする2本のクラリネットが織り成す美しい音色が、曲の雰囲気とあい
まって何処か異国の地へ誘うような感覚。特に「THEME FROM SCHINDLER'S
LIST(シンドラーズ・リストのテーマ) 」「REMEMBRANCE(追憶)」の
深い心地よさは格別。また、ザヴィエのパーカッションが決してでしゃばり
過ぎることなく、絶妙に効果的に散りばめられているのが印象に残った。
                            (加藤正之)



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