「サ・バ」レーベル

----- Magi(マギー)2004年8月号より -----
パリの風にたなびき、美しく回るかざぐるま

 プロデューサー、伊藤秀治氏指揮のもと、ニルス・ラン・ドーキー(p) の人選により
生まれたプロジェクト、ウインドミル。その意味は“かざぐるま”。無類のボーカル・
テクニックを有するニカ・スチュワート、チェロのヴァンソン・セガル、コントラバス
のフランソワ・ムタンの3人が3枚の羽根となって構成されたユニット。
 音程の落差を最大限に生かしたニカの歌声、アルコ&ピチカートで奏でるチェロとコ
ントラバスの美しい音色。この単音勝負を信条とする3つの楽器による一風変わった編
成が、摩訶不思議なサウンドを醸し出す。
 名演と呼ぶに相応しい「アイ・リメンバー・クリフォード」「オン・グリーン・ドル
フィン・ストリート」。ベンチャーズも呆気にとられるような「10番街の殺人」も面
白い。  やはり“3つの羽根を持つかざぐるま”というコンセプトが重要で、羽根が
多過ぎて、突風に煽られながら激しく旋回するようでは、こんな心地良さは生まれな
い。この斬新ともいえるアイデア、ジャズの未知なる可能性と限りなく美しさを追求し
たクオリティの高さを是非とも堪能して欲しい。
                                 (加瀬正之)




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