・・・なんとあの「ひげダンスのテーマ」アカペラ版である。これでジャズ史上初の
故いかりや長介氏のトリビュート曲が出来上がったわけだが、XUXUにとっては今まで
意識的に避けていたヴォイス・パーカッションを思い切り披露した一曲となった。
が、アルバムは実際には「テネシー・ワルツ」でゆっくりと幕があがる。例によって
歌詞は“XUXU語”なのだが、その無限の言語と音色の巧みな変化が、曲の持つ本来の姿
にファンタジックな衣をまとわせているようだ。スタンダード・ソングとしては「スマ
イル」「星に願いを」「マイ・フェイバリット・シングス」等のカバーがあり、シュー
マンの「トロイメライ」を経て、世にも奇妙な(?)スコット・ジョプリンの「エン
ターティナー」が続く。
そして「ひげダンス」の後はシカゴのヒット「素直になれなくて」を素直に歌わない
で(?)意外にもちょっと教会音楽風の美しいコーラスで歌い、アルバムを締めくく
る。この非常にポップな要素とアーティスティックな要素が渾然一体となったXUXUの
コーラス・ワールドを名エンジニア、及川公生氏が真空管マイクでワンポイント録音し
た。本当に生の女性4人が「ねぇ、」と語りかけてくる。振り向かない人、
いないよね? (馬場雅之)
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