欧州随一のジャズ大国フランスから、フレッシュかつスリリングな1枚 |
近年紹介される機会の多いヨーロッパのジャズだが、ひとくちにヨーロッ
パといっても、そのスタイルはさまざま。異なる文化的背景の下、各国それ
ぞれの発展を遂げて今日の活況に至っている。そのヨーロッパ諸国中でも
ジャズ大国として知られるフランスにこだわるジャズ・レーベル、「サ・
バ」から、最新アルバムが届けられた。
このジルベール&リズは、テナー・サックスのジルベール・ドジャーと、
ヴォーカル / クラリネットをこなすリズ・アレクシーという、リヨンの音大
講師ふたりによるユニットだ。ジャケット(本人たち)の雰囲気から、いか
にも甘ったるい日本製欧州ジャズ(?)かと思いきや、ジルベールの知的か
つ大胆な作編曲、そしてリズの大胆なヴォイス・パフォーマンスに驚かされ
る。上手い比喩が思いつかないが、フランス語スキャット・インプロヴィ
ゼーションとでも言うべき驚異的な歌声は、他所では聴けない閃きに満ちた
ものである。
薄っぺらい「おしゃれ」モノとも、難解な現代ジャズとも異なる柔軟な音
楽。柔軟な耳を自負するリスナーは、ぜひ挑戦してみて欲しい。(田辺有朋) |
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