「橋のない川」

向田敬子の「ひとり語り」は先人に追随するところがない。
誰彼の模倣というところが微塵もない。
声楽家として培った表現を、文学世界に転じ、彼女独特の
「演奏するように語りたい」という理想にまで高まっていった。
語りは二時間に及び、聞き手は向田敬子の、
どの声も逃がすまいと身を乗り出す。
生涯、忘れられない二時間をお届けしよう。

向田敬子(むこうだ たかこ)のひとり語り
「橋のない川」(原作/住井すゑ)

第一話 前半50分・後半50分
声で聞く大作 " 橋のない川 "

音楽と照明の中でひとり歌うように「人間愛」語る



人間社会は「業(ごう)」のようにして
「差別」に悩んできた。
住井文学のメスはここにぐさりと
突き刺さって読者を揺さぶるが、
一方では家族一人一人の思いやり、
ヒューマンな温かさに溢れ、
人間の絆の確かさを知って
胸に熱いものがよぎる。
「時代の上に人間はすべて平等」
を貫く住井文学。
そのエキスが「語り」によって
あなたの胸に。

 

公演後の感想文(中高生)もご覧下さい


原作者 住井すゑさんは、
1997年6月16日、95歳で他界されました。
亡くなる二ヶ月前、牛久沼のご自宅にお見舞いした
向田敬子に、住井すゑさんは繰り返し言われた。
「大変なことに取り組みましたね。
この作品を演じること程むずかしいことはありません。
100年経たないと本当に理解されないと思います。
これを演じられるのは名優です。
真実を語るということは
大変なことなんですから。」と。

 

1995年12月23日 東京新聞より
 向田さんは声楽家である。「橋のない川」との出会いがある。
文章が美しく語れる。それがひとり語りへと誘った。
「やっていなければ、生きていないのと一緒。人生で初めて
自分が求めていたものに出会ったのですから。」と向田さん。
 原作者住井さんには「語りは原作のままでやってもらえるので
有り難い。お世話かけます。」と励まされた。
95年3月以来毎月茨城県牛久市まで住井さんを訪ねている。
「住井さんとお会いする度に、ひとり語りを続けていくべき
なんだという思いが強くなっていきます。」そして、
自分の力で生きてきた住井さんのエネルギーが感じとれるという。

現在、向田のひとり語りは、「橋のない川」第五話まできています。
第一話から二話三話へと、年毎にまた月毎に続けていく
というのも相当意義ありますが、
一話毎に完結致しますので一公演だけでも十分
価値あるものと感じていただけることと思います。
また、「歌うように語るひとり語り」
というパフォーマンスを通して、
より身近に同和問題を考える投げかけとなれれば幸いです。

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向田敬子の歌うような語り
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